Naomi's notebook

Naomi's notebook

古典ギリシア語導入のためのメモ

教科書:古典ギリシア語初歩(水谷智洋
ここに書いてあること・だいたい10課まで
すべて間違っている可能性が高いです
個人用メモなので、個人的な変な覚え方とかがあります
アクセントを打つのめんどくさすぎるので、初出の単語の有声無声記号と重要なところ、あとは短母音・長母音を区別する記号しか打っていません。あくまでも私のための教科書の補助・テスト用です。

sg:単数 du:両数 pl:複数
この教科書では両数は略されている

記号 用法
n 主格 定動詞の主語または述語(補語)
g 属格 所有(…の)、起源・分離(…から)
d 与格 間接目的(…に、…のために)、手段(…で、…によって)、場所(…で、…において)
a 対格 直接目的(…を) 不定詞の主語
v 呼格 呼びかけ

定冠詞

用法

  • 英語のtheと同じ
  • 固有名詞、抽象名詞、総称的に述べられた名詞(しばしば)
  • 文脈から所有者が明らかな時、所有形容詞の代わりとして
  • 形容詞、副詞、不定詞、分詞などとにつけて名詞化
  • ο μεν...,ο δε...,οι μεν...etcで、「一方は…他方は」

補足

- 繋辞的動詞copulative verb「…である」などが省略された文章では普通定冠詞がついている方が主語

変化

変化は赤文字の部分以外は第一変化・第二変化名刺と同じである。

num case male female neutral
sg n ο η το
sg g του της τον
sg d ι τῳ τῃ τῳ
sg a τον την το
pl n,v οι αι τα
pl g των των των των
pl d ις τοις ταις τοις
pl a τους τᾱς τα

名詞・形容詞の変化

  • 第一変化

大部分が女性で、残り少数を男性が占める。
1(a-f):γνωμη(意見)-αγαθη型 ηで終わる女性名詞・形容詞
1(b-f):χωρᾱ,μοιρα-のように終わりから二文字目がε,ι,ρのいずれかで、α,ᾱで終わる女性名詞・形容詞
1(c-f):θαλαττα終わりから二文字目ε,ι,ρ以外ののいずれかで、α,ᾱで終わる女性名詞
1(d-m):πολῑτηςのようにτηςまたはηςで終わる男性名詞
1(e-m):νεᾱνιᾱςのように終わりから二文字目がε,ι,ρのいずれかで、ᾱςで終わる男性名詞

  • 第二変化

2(m):ἱππος(馬)-αγαθοςのようにοςで終わる男性名詞・形容詞
2(n):δωρον(贈り物)-αγαθονのようにοςで終わる男性名詞・形容詞

  • 第三変化

3(a-mnf):語幹が子音に終わる(c)(d)を除く子音幹名詞すべて
3(b-mnf):語幹がι,υ,ευなどに終わる母音幹名詞
3(c-mnf):語幹が子音(τ)ερに終わる一部の子音幹名詞(sg.n,v以外ではεが脱落したりする)
3(d-mnf):語幹が子音ςに終わる一部の子音幹名詞すべて
以下の表・規則だけでは追えていないが、疲れたので教科書を見て欲しい。
まだ(b)(d)については記していない。
後ほど気が向けば母音変化について記して規則性を見つけようと思う

m,fについては語尾が完全に同じ変化をする。
以下に注意(主なものしか書いていないので教科書を見て)
(1)アクセントのないις,υςに終わる歯音幹名詞では、sg対格では語幹の歯音を落としてからνを添える。
(2)単数呼格について、単数主格と同じであるが、一部の動詞(語幹がιτ,ιδ,ιθに終わるものなど)は語幹のまま。この時、語がν,ρ,ς以外の子音で終わることはないので子音が落ちる。

(!)語幹が閉鎖音に終わる時、閉鎖音と時称接尾辞との間に変化が生ずる

唇音 πβφ σと結合してψに
口蓋音 κγχ σと結合してξに
歯音 τδθ σの前で脱落する

さらに、複数与格において、ν幹でもσ前でνが脱落。ντ幹でものσ前でντが脱落しその代わりに前の母音が長くなる(οがωやουに)

このブログでは、出来るだけ覚える量を減らせるようにする。そのため、母音変化など(後ほどそのページを書きます)で説明できる部分に関しては、カッコで母音変化などが行われる前の形を記す。

変化

num case 2(m) 1(a-f) 2(n) 1(b-f) 1(b-f) 1(c-f) 1(d-m) 1(e-m) 3(a-m=f) 3(a-n) 3(c-m=f)
sg n αγαθ-ος -ον χωρ-ᾱ μοιρ-α θαλαττ-α πολῑτ-ης νεᾱνι-ᾱς φυλακ-κς->ξ σωμα-τς πατηρ
sg g -ου -ης -ον -ᾱς -ᾱς -ης -ου -ου -κος -τος πατρος
sg d -ῳ -ῃ -ῳ -ᾱι -ᾱι -ῃ -ῃ -ᾱι -κι -τι πατρι
sg a -ον -ην -ον -ᾱν -αν -αν -ην -ᾱν -κα -τς πατερα
sg v -ον -ᾱ -ᾱ -κςξ -τς πατερ
-
pl n,v -οι -αι -αι -αι -αι -αι -αι -κες -τα πατερες
pl g -ων -ων(αων) -ων(αων) -ων -ων -ων -ων -ων -κων -των πατερων
pl d -οις -αις -οις -ᾱις -ᾱις -ᾱις -ᾱις -ᾱις -κσιξι(ν) -τσισι(ν) πατρασι
pl a αγαθ-ους -ᾱς -ᾱς -ᾱς -ᾱς -ᾱς -ᾱς -κας -τα παερας

形容詞

限定的用法attributive

「良い馬」
(よく使う)ο αγαθος ιππος,ο ιππος ο αγαθος,ιππος ο αγαθος(まれ)
定冠詞と名詞の間に形容詞を置くのが普通
名詞の後に定冠詞をつけた形容詞を置くことも(つまり定冠詞+形容詞の組)

叙述的用法predicative

「その馬は良い」
ο ιππος αγαθος, αγαθος ο ιππος
形容詞を定冠詞と名詞の組み合わせの外に置く
繋辞的動詞copulative verb「…である」などが省略される

変化

基本的に名詞と同じ語尾変化をする。



動詞

時制

本時称
  • 現在完了
  • 未来

アクセントは規則の許す限り語末から遠ざかろうとする(動詞全般に当てはまる)

  • 未来完了
副時称

過去を表す。

  • 未完了過去 

過去において継続していたり、反復されていたり、あるいは開始されようとしている動作または状況

  • アオリスト 

単純にある出来事が起こったとのみ述べる。
格言にアオリストを使うことがあるが、過去に訳さなくて良い。

  • 第二アオリスト

第一アオリストsigmatic-aoristか第二アオリストかのどちらかを持つことが多い。(両方持っていて意味が違う動詞も存在する)

  • 過去完了

加音
この三時称は、直接法では加音(augument)を取り、副時称の人称語尾を伏して作られる。
前置詞と複合してできた合成動詞では加音は前置詞の後に置かれる。

  • 音節的加音(子音で始まる動詞) 語頭にἐをつける。ῥが語頭の時は重ねることでἐρρとなる。
  • 時量的加音(母音で始まる動詞) 母音が長くなる。具体的には以下。
α,ᾶ,ε η
ι ο υ ῖ ω ῦ
αι ᾶι ει ηι
οι ωι
αυ ευ ηυ

ε は時にειになる。

能動相
中動相
受動相

直接法
接続法
希求法
命令法

変化

μι動詞とω動詞が存在する。
数、人称、時称、相、法に従って変化する。基本形は直接法能動相現在一人称単数形である。

ω動詞

παιδεύω
動詞幹:παιδεύ
現在幹παιδεύ-ο/ε
+語幹形成母音(μまたはνの前でε、その他でο)

未来幹παιδεύσ-ο/ε
+未来の時称接尾辞(-σ-) +語幹形成母音(μまたはνの前でε、その他でο)

  • 動詞幹が閉鎖音に終わる時、閉鎖音と時称接尾辞との間に変化が生ずる
唇音 πβφ σと結合してψに
口蓋音 κγχ σと結合してξに
歯音 τδθ σの前で脱落する
  • 動詞幹が短母音に終わる場合、σの前でその母音が長くされる(ただし、αはε,ι,ρの後ではᾶ、それ以外ではη)

アオリスト
第一アオリスト幹
動詞幹に時称接続詞σαを加えてアオリスト幹を作る。

  • この時、未来幹と同じようにσの前が変化する(欠落したり合体したり母音が伸びたりする)。
  • 動詞幹が流音λ,ρか鼻音μ,νで終わる動詞ではσαのσが脱落し母音が伸びる。(伸び方については加音の節を参照)

第二アオリスト幹
特殊な動詞幹(暗記)+語幹形成母音(μまたはνの前でε、その他でο)
未完了過去と全く同一の語尾変化になる。(語幹だけ異なる)


語尾
+人称語尾(μεν,τεなど)

人称 直接法能動相本時称人称語尾 直接法能動相副時称人称語尾 現在 未来 未来完了 未完了過去 アオリスト (λειπωの第二アオリスト) 完了過去
sg 1 -,μι ν παιδεύω σω -- παιδεύον -σα λιπον
sg 2 ς,θα ς παιδεύεις σεις -- παιδεύες σας ες
sg 3 σι - παιδεύει σει -- παιδεύε(ν) σε(ν) ε(ν)
pl 1 μεν μεν παιδεύομεν σομεν -- παιδεύομεν σαμεν ομεν
pl 2 τε τε παιδεύετε σετε -- παιδεύετε σατε ετε
pl 3 νσι,ᾶσι ν,σαν παιδεύουσι(ν) σουσι(ν) -- παιδεύον σαν ον
不定 - --- --- παιδεύειν σειν -- なし σαι ειν(<εν)

その他特筆すべき単語

以下の単語については意味・変化などを暗記しておくことをお勧めする(面倒なので記載しない。)

  • 「…である、存在する」εἰμι

三単現は普通ἐστί(語末アクセント)だが、以下の時ἔστι(語頭アクセント)となる。
(1)文頭に立つ時
(2)存在・可能を表す時
(3)一部の小辞の後に来る時

  • 「言う」φημί

文法

頻出の表現をいくつか示す。

直説話法

ώς,ὅτι(that的接続詞)+主語(主格)+定動詞

間接話法

考える(νομίζω)、言う(φημί)のような動詞によって導き出される。
(主語)対格+不定
(未完了過去、完了過去の時は現在、完了の不定詞)
不定詞の主語は主動詞の主語と同一の時は表さない、この時補語は主語であるS=S'に合わせて主格となる。

直説法:SV ώς,ὅτι S'(n)V'(動詞)C'(n)
間接法:SV S'(a)V'(不定詞)C'(a)
省略 :SV S'=S(a)V'(不定詞)C'(n)

結果の表現

  1. 実際に生じた結果 :ὥστε +直説法 否定:οὐ
  2. 当然起こりうる結果:ὥστε+不定詞  否定:μή

時間の表し方

  1. 期間:対格
  2. 特定の時:与格
  3. 期間内:属格

疑問代名詞

変化はめんどくさいので
第16回 疑問代名詞・不定代名詞(詳細)ここら辺をみてください。

与格の用法

所有の与格 dative of possession

εἰμιまたは類義の動詞+与格 で所有を表す
例:S(d) εἰμι S' ->SのS'

限定の与格 dative of respect

動詞、形容詞、名詞などの表す意味内容がどの点においてそうなのかを示す。
例:S C(n) the C'(d) ->SはC'においてCである

対格の用法

限定の与格 accusative of respect

動詞、形容詞、名詞などの表す意味内容がどの点においてそうなのかを示す。

性・数・格変化

  • 中性複数の主語は単数の動詞で受けるのが普通
  • 活用表上の(ν)はν-movableと呼ばれ、母音で始まる語の前と句や文の終わりでつけられることが多い。
  • (主語になった時など)不定詞は中性名詞として扱われる

小辞

  • 「さらに、しかし、そして)」δε(δ᾽と省略されているのはδε)は文頭に立つことができず、普通二番目の位置をとる(postpositive)
  • 「しかし」ἀλλα(αλλ᾽と訳される)…οὐ...ἀλλα=not...but
  • 「そして、…もまた、…でさえ」και (ex)κᾱν=και εν(母音融合crasis)/και…και…(…も…も)=τε…τε…
  • 否定οὐ 無気母音で始まる語の前でοὐκ、有気ならοὐχ (ex)οὐκ ἐφη …ではないと言った